とり

ノマドランドのとりのレビュー・感想・評価

ノマドランド(2020年製作の映画)
3.0
期待してたほど揺さぶられるものはありませんでした。人を選ぶ映画だと思う。
淡々としていてドキュメンタリータッチな作風で自然の美しさも素晴らしいんだけど、単純に映画作品としてはいまひとつ。
純粋なドキュメンタリー、NHKとかプラネットアースとか見ればそれでいいかな。

気が滅入る映画だったらちょっとイヤだなと思ってたけど、そういう湿っぽさがなかったのは良かった点。
車上生活での放浪も興味深かったけど、そんなふうに感じる自分が野次馬的でなんだかな。
多数の放浪者が登場するけど、特に感情移入することもなく、そんな人もいるよな~程度で冷めたもんです。
自由に生きたいのに人との繋がりは必要としてるところもちょっと違和感。元々″変わり者″系の人々であって、大切な人を失ったから・失業したからあのような暮らしをしてるわけではないと思ったので、一匹狼な人も一人出しておいたらよかったのでは。

彼らが理想を語るシーンはドアップが多く、刻み込まれた顔の皺がとても印象的です。
序盤でちょっとヒッピーみたいだなと感じて、途中で違うなと思い直しました。でもよく考えると彼らが若かった頃ってまさにヒッピー世代なんですよね。
石がクローズアップされてるのはボブ・ディラン(ヒッピーの神)のLike A Rolling Stoneを暗示してるのかな。そう考えるとやはり彼らは今でもヒッピーなのかも。

朝焼けとも夕焼けとも取れる美しい風景は本当に素晴らしかったです。
どこまでも続く奥行のあるアメリカらしい光景。自由に生きる人々と重なります。

冒頭で説明されるUSジプサム社。スティーヴン・キングの作品でも取り上げられました。確か「リーシーの物語」だったかな。どこまで本当か知らないけど、地元民はジッパムと呼んでいたらしい。
あの当時のアメリカの経済崩壊は失業者であふれかえって本当に地獄だったみたいですね。
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