トムヤムクン

アイダよ、何処へ?のトムヤムクンのネタバレレビュー・内容・結末

アイダよ、何処へ?(2020年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

窓からニュッと銃口だけが入ってきて、次のショットは一本の木が静かに揺れながら、凄まじい銃撃音。恐ろしい処刑シーンでした。戦後、傷の癒えないスレブレニツァの街に戻ってきたアイダ。前まで住んでいた思い出の家には、新しい家族が居を構え、幸せそう。結構前にみた『サラエヴォ、希望の街角』でも、主人公が昔住んでいた家に行って新しい住民とやりとりをするシーンがあった。遠くなってしまったわが家。傷の癒えていないアイダには、スレブレニツァの街に居心地よく住まうことはできない、戦争の傷とトラウマからの回復には長い時間がかかる。これから先の未来への期待と不安が、子供たちに託されている。未来に待つのは快復と和解か、あるいは怨恨と更なる殺戮なのか。ジェノサイド映画における「子供」のモチーフとしては、『炎628』での幼少期のヒトラーの写真が強烈な印象を残している。共産主義者は破滅をもたらすのだから、その未来を奪うために子供を殺すのだと、かの映画のナチは言っていた。アイダの見つめる子供たちは、未来はどちらに続くのか。
トムヤムクン

トムヤムクン