コーディー

ニューオーダーのコーディーのレビュー・感想・評価

ニューオーダー(2020年製作の映画)
4.0
久しぶりにこんなシンドイ映画観た。けどやっぱこの監督の映画好き!

富裕層と貧困層を隔てる壁がクーデターにより脆くも崩され、人間の社会はある日終焉を迎える。
そんな〝新たな秩序=地獄へようこそ〟な緊張と不快から逃れられない86分。結婚式という幸せの絶頂を侵蝕する緑のペンキが人間を別の何かに変貌させる…あり得る恐怖に身も凍る衝撃作!

もともと不均衡な格差社会を優雅な結婚式や元使用人とのエピソードでたっぷり印象付けながら、主人公マリアンだけは階級に囚われず溝を埋めようと奔走する。この導入が無慈悲な世界をより強める何ともミシェル・フランコ監督らしい厭らしさ&モラル無視w警鐘と言うには余りにも…な展開が只凄まじい!

体制をひっくり返すんだから非合法も非道徳も厭わないという不満や怒りの最終局面、そんな無差別で容赦ない暴力が衝撃的過ぎて問題提起と言うより、ただ恐ろしい。
監督の過去作とも趣が異なる感じはしたし、もはや諦観の境地なのかな。

〝パラサイト〟の半地下家族とは圧倒的に視点も規模も違うってのはあるけど、特に体制でも反体制でもない人たちの描き方が丁寧なので、心の持っていき方がムズい。
ディストピアが過ぎるw

てかどんどん不均衡やエゲツなさの表現が直球になってきてる気がするミシェル・フランコ監督。
まだ『或る終焉』が1番好きやけど、個人的にハズレの無い監督なのは今回も変わらず。
人は何にも制御できないよ。な感じ、好きやわ〜w