まめまめちゃん

ニューオーダーのまめまめちゃんのレビュー・感想・評価

ニューオーダー(2020年製作の映画)
4.2
休み明けの仕事がマシだと思えるように、正月休み最終日の夕方に見ようと取っておいた本作。80分強とコンパクトで話もわかりやすくちょうど良い。
またこのような胸糞映画のストックをしておかねば。

マリアンは自宅のお庭でマリッジパーティーの最中だった。しかし育ちの良さが醸し出す奉仕の心が讐となる。豪邸の外は軍による新体制に対するデモで無法地帯となっており、ほどなくマリアン邸にも群衆が押し寄せ、たまたま病気に伏せる元使用人の元へ出かけていたマリアンは大勢の人質のひとりとなる。

マリアンやその他の人々が受ける仕打ちは詳細には描かれない。銃声とか呻き声とか、人を並べて遠景で火を放つとか、首にロープをかけて床を抜くとか、そのものズバリを見ずに済むのはよかったが、
何よりもマリアンが権力者である父と兄と新体制の将軍の犠牲になるのが心底胸糞である。
利他的な心優しさは何の役にもたたない。
生きるために必要なお金を十分に蓄え、
然るべき時に備えよ、
風が吹く方向を読めと、言われているようだった。

最近救急に運ばれる人の経過が数年前までよりも急だと聞いたことがある。
歩いて病院にやってきた人が数時間後に心マッサージされてるとか、歩いて手術室に入った人が手術のほんの数時間の侵襲で麻酔もかけられないほど血圧が保てず管だらけになって集中治療室に行くとか、
私もいつそんな人たちのお世話をしてるうちに感染するかわからんし、
だいたいいつ死ぬかわからん時代やし、
そうでなくても最近お金が貯まらんし、
こんな力のない行き当たりばったりの国にいて、
群衆になってデモを起こしたところで自分が傷つくだけ。
力のない者は淘汰されるよな。
みんなしっかりせえよと尻を叩かれているように感じたのだ。
明日からもわたしは負けないと思ったのだ。
そういう意味で、新年に相応しい1本だったと思う。

緑の使い方、不気味で良かった。
平和そうな緑があんなに恐ろしくも見えるんだな。