スカポンタンバイク

ニューオーダーのスカポンタンバイクのレビュー・感想・評価

ニューオーダー(2020年製作の映画)
4.5
恐ろしい映画だった。

前半描かれる貧富格差によって生まれた暴徒の暴力も凄まじいものがあったが、それを言い訳に展開される戒厳令による軍事体制が本当に恐ろしい。軍事体制という後ろ盾に手に入れた軍人たちの陵辱、搾取の描写はもう何と言ったらいいのか。こんなに酷い事をすることが人間には可能なのだと思い知らされる。
全ての国内情勢が文字通り「ニューオーダー」誕生のために利用され、結果貴族階級は生き残り、中産階級より下階級内での泥沼の搾取が繰り返され、自体はどんどん悪化していく。「革命による暴力」と「独裁国家」を2幕構成で描き、悪いもの2つを比べているような話だと思ったが、それでいうとやはり前者の方がマシだと思わずにはいられない。
ちょっと前に観た「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」とは真逆にどんどん「Be kind」が失われていく。逆説的に、本当に「Be kind」の精神がいかに大切なのかを思わずにはいられない。