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Le Sorelle Macaluso(原題)のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

Le Sorelle Macaluso(原題)(2020年製作の映画)
2.0
[戻り来る鳩と去り行く鳩] 40点

昨年のヴェネツィア映画祭コンペ部門に選出された作品。大きく三つの時代に分けて描かれるマカルソ家の五人姉妹の年代記。第一部は五人姉妹のティーン時代を描いている。一番上のマリアは20歳くらい、一番下のアントネッラは8歳くらいの頃、姉妹には両親もなく五人で屋根裏で育てた鳩を売って生活しており、絆は強い。ある日、ビーチへ行った五人は計り知れない心の傷を負うことになる。第二部は四姉妹の40代の時代を描いている。既に第一部とキャストが全く被らないので状況把握に時間がかかるのがアホ臭すぎる。長女マリア、侍女ピヌッチア、三女リア、四女カティアは、それぞれ家庭を持ったりセックスに溺れたりしているが、全員アントネッラの死について責任を感じており、常に陰惨な空気を纏っている。ただ、姉妹だけの世界で閉じすぎているせいで深みが感じられず、後述のジムノペディ問題も相まって薄っぺらく見えるのが残念。第三部は三姉妹の70代の時代を描いている。マリアが去ってから一人で暮らしてきたであろう実家で、老齢のリアが亡くなった二人を思い返しながら、やがて彼女たちの下へ行き、残された二人によって実家はついに解体される。キャビネットや写真立ての後ろには経年のシミや日焼けが付いていない、という時間の流れだけは感じる。

全編を彩るのは全部エリック・サティ「ジムノペディ」である。家族の悲劇のセンチメンタル化という陳腐な物語をジムノペディでベタ塗りして余計にダサくしているのだ。取っ手の取れる窓みたいな三つの時代に共通するアイテムもダサければ、最後の出棺→白鳩飛び立つがやりたかっただけの鳩小屋設定も邪魔で、何もかもが中途半端という印象しか受けない。単純に考えて10代の五人、40代の四人、70代の三人を描くなんて、多すぎて90分じゃ無理でしょ。

去年のヴェネツィア映画祭コンペ大事故説、残り5本あるがほぼ確定で良いのでは…
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