えいがうるふ

いとみちのえいがうるふのレビュー・感想・評価

いとみち(2020年製作の映画)
3.8
母目線で素直によしよし、と思えた穏やかな佳作。
難を言えば、ただでさえセリフの聞き取りにくい邦画でさらに登場人物の大半がガチ津軽弁をしゃべるとなると本当にセリフの内容が半分ぐらいしか分からなくて参った。まあ、雰囲気でなんとかなるが字幕欲しくて苦笑。「かに」「め」など文字にされた方言も作中では一切説明がないので慌ててメモって後で調べる始末。

いきなりメイド喫茶でバイトを始めるくだりは原作知らないのでかなり唐突に思えた。ましてこれが東京なら職場環境的にかなり殺伐とした景色にもなりかねないところが、なんだろうこのやさしい世界は。店長もメイド仲間もベタベタしてないけど根っこの人の良さが隠しきれないあったかい人ばかり。初めてアップルパイめぐんでもらうシーンはセリフもないのに勝手に泣けた。
絶妙にダサい学芸会チックな制服も刺さる人には刺さるのだろう。あと、メイドが売りなのにやたら珈琲にこだわってるとこもいい。普通に行ってみたいカフェだ。

本場の三味線奏者西川洋子さん演じるばあちゃんの演奏シーンは腰の座ったフォームに全くブレがなく、さすがの一言。むしろ演奏が本職なのに役者としてここまで自然な演技ができることに感動。