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デス・オブ・ミーのsayaのレビュー・感想・評価

デス・オブ・ミー(2020年製作の映画)
3.0
タイの離島に旅行中の夫婦が朝目覚めると、過去12時間の記憶とパスポートを失っていて帰りの船にも乗れなくなってしまう話です。
『ミッドサマー』との類似点を指摘する意見も見かけるのですが、どちらかといえば『ミッドサマー』の元ネタになった『ウィッカーマン』を強く意識した内容でした。
離島の祝祭、住民たちが共犯者の田舎ホラー、選ばれた人間に条件を満たさせるための罠など物語上の共通点も多かったです。
記憶喪失や謎のネックレスというアイデアを追加して結末も大きく変えたことで別物に仕上がってはいますし、嫌な話ばかり撮るダーレン・リン・バウズマン監督ならではの独特な世界観も堪能できました。
アメリカのホラー映画がアジアを舞台にしてくれただけで素直に嬉しいです。
言語が異なる環境で自分の身に起きている異変をうまく伝えられない不安や、ついさっきまで笑顔だった島民たちがヒロインの姿を見た途端急に真顔に戻る演出など、田舎ホラーならではの恐怖もうまく表現されていました。
眼球注射や瞼の裁縫、腸抜きなど残酷描写も楽しかったです。
この監督の作品は素直なハッピーエンドで終わらないのが好感もてますし、前作『アガサ』と同様に小気味よい結末にはスッキリしました。
旅先で浮かれた妻に勧められて謎の薬を一緒に飲んだせいで記憶を無くし、身に覚えのないことで妻から避けられ、かといって距離を置こうとすると妻から責められてしまう夫が一番気の毒です。
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