緑雨

おまえうまそうだなの緑雨のレビュー・感想・評価

おまえうまそうだな(2010年製作の映画)
3.8
作画も演出も突出したものがあるわけではないが、甘くなりすぎず突き放し過ぎず、必要なことだけを慎ましく描く匙加減が心地よく響く。キャラクタ造形も適切だし、どれもかわいらしい。

「肉食い」であることを初めて自覚したハートが、我を忘れて襲いかかるシーンの痛切さ。そして、その後ハートが母のもとを去るシーンをあえて描かないところが素晴らしい。

次に画面に現れたハートは若く逞しい「肉食い」に成長しており、ついこの前までかわいい小学生だったのがいつの間にか不良中学生になってた、みたいな感慨を生む。

惜しむらくは、ハートと「うまそう」の関係を、母とハートとの関係とオーバーラップさせるような演出上の工夫がもう一歩あってもよかったのではないかということ。
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