いの

空に住むのいののレビュー・感想・評価

空に住む(2020年製作の映画)
3.7
JK映画を卒業したら、今度はこちらの映画にどうそ、などといったことは断じてない(と思う)。だいいちJK映画を卒業する必要もないんだろうし。そもそも、そんなカテゴリーがあるのかもようわからん。と、ほとんど観てない私がなにをゆうか!


叔父さん夫妻が用意してくれた、ふわふわリッチでちょうセレブちっくなタワマン。叔父さん夫妻とは、ワイングラス片手に豪勢な(でもミムラが用意するのものは出来合いの)食事。多部ちゃんは出版社の編集者。15年連れ添っている黒猫ハル。おなじマンションにいる岩ちゃんとの出会い。などなどいちいち挙げていくと、これは多くの女子が憧れる生活ではあるまいか。うらやましかー💦


39階。まるで空に住んでるみたいだ。内装もカンペキでちょうオシャレ。生活感がほとんどない。夢見る頃を過ぎてもまだ夢を見ていられそうな気がしてしまう。そこは現実感が希薄で、なんとなく淋しくて。そして不思議な空間だ。死の気配が佇んでいる。視界に入る位牌。香炉。生けた花は枯れないように(生けた花はやがては枯れる。でもそれをみないですむように)。おおきなひと部屋を区切るために積み上げられた石壁は、鎮魂のために積み上げられた石のようにも思えてくる。不確かなもの。不安。存在が揺らぐなか、多部ちゃんが丁寧に作る料理は、多部ちゃんを現実へと繋ぎ止める大事な役割を果たしているような気がする。そして、人見知りの猫:ハルの存在。


高層マンションに対して、多部ちゃんの職場は昔ながらの民家。職場に行くには、電車で川を渡る(川が、異界との通路かな?)。渋谷の階段。


すっぴんの多部ちゃんが、ハルを撫でながらずっと話しかける場面がすごくいい。それから、ずっと静かな映画だったのに、多部ちゃんが、イコール自分のような大事な存在を失ったあと、乱暴にゴミ袋にブツを入れていくときのその乱暴な音や、下界からきこえてくる音の乱入がいい。


・・・と、ここで筆がとまる。このレビューをなんとまとめて良いのかわからなくなって、もうどうしたらよいのかわからなくなって、宙ぶらりんのままで終わることにします!地上では交わらない平行線も、空では交わることもあるのでしょう。



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・青山監督だからと観賞。でも、1作しか観たことなかった💦


・多部ちゃんのあのリュック、わたしも欲しい。猫飼ってないけど。あのリュック背負って、宇宙飛行士ごっこができる気がする。靴も全部可愛かった。んで、最初に出てきた靴が欲しいな。ベージュのはいらないです。全くエロくないキスシーンにベッドシーン。でも、最後に多部ちゃんの方からキスして襲う場面は好きです。そして、岸井ゆきのはやっぱり巧い!


・永瀬正敏は、パターソンみたいに、良いタイミングでちょこっと出てきて、良いことを言う。
いの

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