小指

ベイビー・ブローカーの小指のレビュー・感想・評価

ベイビー・ブローカー(2022年製作の映画)
4.0
ひととひとが顔を合わせたときの行間を読みとっていく映画。

「捨てるなら産むなよ」と序盤で吐き捨てるように言う刑事の言葉はわたしの想いにも近かった。子供に関する様々な痛ましいニュースや赤ちゃんポストの話題を目にするたびにそれに近い感情をわたしも抱いていた。でもそこにはわたしが知りえない多くの繊細な感情や空気や事実があるんだろう。肯定はできないけれど安易に否定もできないなと思った。

「生まれてきてくれてありがとう」と他者に言われたことがなかった4人がお互いに言い合うシーンはとてもとてもグッときた。4人の心が救済された瞬間だと思う。

是枝監督はふんわりと謎を残すのがお好きなようですね。考察班のみなさんさあどうぞ!と言わんばかりに毎回何かしら残していくね。その曖昧さ、なくてもいいんだけどな。

俳優の演技は皆皆さんほんとうに上手で創作ではなくドキュメンタリーなのではと錯覚してしまうほどだった。
赤ちゃんや子供やそのまわりの大人たちの問題を多角的に見て考えを巡らせることのできるいい映画でした。謎(というかモヤ)も多いが終わりかたは光があってよかった。
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