まめまめちゃん

ベイビー・ブローカーのまめまめちゃんのレビュー・感想・評価

ベイビー・ブローカー(2022年製作の映画)
4.0
ソンガンホとカンドンウォンはある赤ちゃんの引き取り手に会いに、古いクリーニング屋の車に乗って行くのだが、そこに同行するひとり、そして途中からうっかり飛び乗るもうひとり。それぞれの背景があり事情がある。そのロードムービー感に仄々しかける瞬間に、刑事ペドゥナと同僚の乗った車内が映されこれは犯罪なのだと訴えてくる。ペドゥナたちは手を変え品を変え現場を抑えようとするのだが、同乗者の事情及び心情の変化に対して見つけ出した妥協点とは。

……
きっと世の中に沢山いる、うまくいかない商売に住む場所を無くす人。売春をしないと生きていけない人。妊娠が継続できず想像と違う人生を選ばざるを得ない人。望まない妊娠で子供を手放す人。手放されて夢を見ることさえ諦める人。

みんな生まれてきて本当に良かったのかと思っている。
命ある限り続いていく人生に、どう折り合いをつけていこうか。
そんな物語のようだった。

是枝監督にしては視点が優しくて、
韓国映画にしては家族(?)の絆が緩くて甘くて、
いつも一緒にいて女の人がギャンギャン言ってるあの韓国の家族の距離感より安心して見れたのは、疑似家族であり他人同士だったからかも。
その薄い絆をさりげなく大切に繋いでいたソンガンホが、今まで何度となく見てきた俳優さんなのだけど初めて良いなあと思った。あの普通を演じるの、難しいと思うもの。カンドンウォンについても同じく。あんなにカッコいいのに人ごみに紛れてしまいそうな普通のお兄ちゃんにだってなれてしまう彼を益々好きになった。ペドゥナのキャラ立ちが微妙なのが残念だったが、物語の推進力である立ち位置で、ファンとしては概ね満足。若い人気俳優たちを登場させてはいるものの、演技巧者であるベテラン3人がいてこその物語だった。

ラストに向かう展開はううむ…(反対派)と思うけど。

パルムドールのインパクトはないかもね。
だって去年は「TITANE」だものね。