ひこくろ

頭痛が痛いのひこくろのレビュー・感想・評価

頭痛が痛い(2020年製作の映画)
4.5
愛想笑いが顔に張り付いたよなういくと、「死にたい」と漏らしながら配信を続ける鳴海。
二人の姿は極端にいびつだが、リアリティに満ちていて、これが現代の女子高生の一面であるのだろうことを確信させられる。
彼女たちのつらさや苛立ちには出口がない。どこまで行っても終わらない。
だからこそ、自分と同じ何かを感じた二人の出会いは、ほんのわずかな安らぎになる。
二人でいたところで何も解決しないし、そこから逃げ出せるわけでもない。
「死にたい」という思いが消えることもない。
けれど、ほんの少しだけでも息がつける。その救いにもならない小さな安らぎが胸に響いてやまない。

あまりにも苦しい思いだと感じた。その苦しさに息ができなくなりそうになった。
しかも、映画はそこに安易な解釈や解決を許そうとしないのだ。
まったくの第三者である直樹の姿や、世の中の反応、鮮烈なラストを通して、「わかった気になるなよ」と告げているように思った。
「救えると思うなよ」と突き付けているように思った。
ひこくろ

ひこくろ