新木

サン・セバスチャンへ、ようこその新木のネタバレレビュー・内容・結末

3.1

このレビューはネタバレを含みます

ウディ・アレン監督の新作。90歳近い御大にクオリティーなど求めておらずなので、これからも元気にときには時代にすこし気を遣いながら”節”を効かせてもらいたいです。無意味な人生を楽しくさせるものに「work, family, love」とのセリフがありましたが、まさにこの3つが絡み合いながら描かれた作品でした。

主人公の老人モートがどのくらいの年齢設定なのかわからずなのですが、ぱっと見70歳くらい。妻はバリバリの人気映画監督の広報を担当するエージェントとして働き、ぱっと見40代半ば〜後半くらい。男は小説も完成させることができず才能も枯れ性格は気難しい(さらに口元はだらしない鶏のよう)、女は順調に仕事をこなし若さも知性も兼ね備える監督のフィリップからもアプローチをちょこちょこと。この設定がもはやどう転んでも最良の結末を迎えることはできない”無理ゲー”状態。しかも美しい女医ジョーのが気になりなにかと不調を繕っては会いに行くまじで老害ストーカー化とした色欲まみれのモートに感情移入なんてまじで不可能。なので、本作は終始ふーーんという感じで鑑賞するしかありません。加えて、ジョーは頭良いんだからこんな患者いたら下心即バレ、いくら現夫が自由恋愛を謳歌しているといえ、診察を断ってよいはず。このへんの女性に対する見方は御大はアップデートしなくてはならないですね。

あと夢/回想シーンをモノクロで、現実はカラーで映すのはわかりやすいし、シームレスにつなげてる箇所もあったのですが、なにより方法としてダサい。ただこういったところの工夫を御大がいまさら頑張る必要はないので、人生の経験を誰よりも積み上げてきたであろう監督の重みのある言葉をワンシーンだけで良いからバシッと描いてほしい。そして、映画館の大きなスクリーンを通して私たちの琴線を揺さぶってほしい。それを観に行ったはずだったのだが、今回その記憶はなく。気付かぬうちに途中で寝てしまったか。
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