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シャドウ・イン・クラウドのSPNminacoのレビュー・感想・評価

シャドウ・イン・クラウド(2020年製作の映画)
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飛行中の爆撃機を密室に見立てた極限状況サヴァイバルで、極秘任務には真実の混じった嘘があって、そこに襲い来る未知の生物。…って、殆ど『10クローバーフィールド・レーン』じゃないか。しかも最初から片腕使えない件、主人公の秘めた事情も同じ。けど、つまり好きなやつだし面白かった。
まず巧いのが、機に乗り込んだ女性パイロットのギャレットが早々に最前線(銃座)に隔離されて、男たちは声だけになること。孤立無援の『ダイ・ハード』状態で、外野のウンザリする野郎ども相手に無線で渡り合うギャレットはジョン・マックレーンだ。その場で傷を手当てしながら、目の前の敵と戦うしかない。既にある美味しい設定を戦時下としたことで、疑心暗鬼な油断ならなさが増している。
もちろん、更に敵となるのが女性蔑視とセクハラだ。声だけで顔の見えない連中は、匿名の他人からの攻撃の卑怯さを現代とも重なるように思わせる。「人をいじめて喜ぶグレムリン」とは何か。雲の影に隠れた敵機のように、孤立した女性を攻撃してくるもの。ギャレットは迷わずそれを撃ち落とす。男たちに見下ろされ鉄の天井に塞がれた彼女は、敵を倒した後一番上にいる。
まあ、密室を出ると途端に80年代アクションヒーロー映画になっちゃうし、メロドラマなエピソードや終わり方は古臭かった。けど、音楽含めそもそも80Sテイストを狙ってるだろうから、チープさも味。クロエちゃんは基本演技がダ…と思うんだけど、そこも敢えて80年代アクションヒーローのイメージをなぞって見えるようだし、これでいい。
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