掛谷拓也

すべてをかけて:民主主義を守る戦いの掛谷拓也のレビュー・感想・評価

3.3
2018年のジョージア州知事選で落選した民主党黒人女性候補のステイシー・エイブラムスが告発する、共和党が行ったとされるマイノリティへの投票抑制の現実を描いたドキュメンタリー。共和党に有利な選挙区割りへの変更、過去6年間投票していない市民を選挙人登録から削除、投票所の数を減らして車でしか投票できないようにするなど、なりふり構わぬ非民主的政治に唖然とする。公民権運動で黒人に参政権を獲得する歴史、血の日曜日事件、ジムクロウ法などの説明も簡潔でわかりやすい。最後は広く投票を呼びかけるでドキュメンタリーは終わる。ここからは映画ではない。2022年再びステイシー・エイブラムスは知事選に出馬するが、2018年にも負けた共和党候補に2018年以上の得票差で敗退する。景気対策と中絶が争点となった。今から見ると映画は、投票抑制がなければ自分たちが勝っていたと自信に溢れるドキュメンタリーだが、実際の政治は難しい。それにしても見ている人の数が少ない。