アキ

オールドのアキのレビュー・感想・評価

オールド(2021年製作の映画)
3.0
割とシャマランは好きな監督さんで、世間の評判イマイチだった「ヴィジット」にせよ、シャマランブシともいうべき品のあるお遊びが感じられて良。その良き塩梅式が此作にも感じられたら良かったんやけども、とってもトンデモ…とまでは言わないが、その最後のドンデンにたどりつくためのストーリーテリングがとてつもなくヘタクソである。つまり遂行→〇→遂行→〇→遂行・・の連続で、流石に〇がある行為にチャレンジした折柄には、その結果は語られずとも推測するに易しい。実際、→〇となった進行はパターン化の弊害であり翻っては単調。BGMもそれに拍車をかけるが如くに必ずといっていいほど〇ぬ間際にそれっぽいBGMが流れ、それ流しときゃいいだろ的な安直な思考が映像と見合っておらず、画作りも稚拙極まる不出来である。お値打ちの年輪の経過についても、それが須らくユーモアに昇華していればいいのだが、登場人物数名でてくるうちでそれを見てとれたのは、あの坊やとその姉ちゃんと幼子だった少女の腹の膨れ具合のみ。後は、粗雑極まる処理である。
むろんこれがシャマランブシだと言われればそうなのかもしれない。が、シャマラン好きの当方からすれば全体俯瞰して、ヴィジットでのソレ、つまるところ先述した品のあるお遊びとはいささかネガティブな乖離があったというのが率直なところで、シャマラン程の実績ある監督ならば、各所における選択をもっとポジティブな方面へもっていってほしかった。単調さは監督の怠惰がもたらす最大の弊害なのである。

全体俯瞰すればダメージばかりが目立つ此作ではあるが、細部を見ればヒカル部分はもちろんある。その筆頭としてはシャマランお得意のドンデン。今までにない落としどころとしては斬新だと感じたし、ヘタクソなストーリーテリングの最後にこのドンデンが控えていたことで何とか駄作にならずに持ちこたえたフシあり。あるいは猛スピードで歳を重ねていくという此作を象徴するツールも、ぶっ飛んではいるが納得せざるをえない理由づけをいただけたと思う。ロケーションも案外良くて、岸壁に囲われてて、怪しげで超常的な何かが勃発しそうな気配が感じられてgoodでございました。

ところで冒頭、シャマラン本人の語り(例の如く作中にも登場…)があって、その内容に思わず首を傾げた、いや出てくるのはいいんだが、その語りの内容に嘘偽り(マネーの虎ならノーマネーでフィニッシュだぞ!)があって、彼が言うには「シックスセンス爾来、ずっとミステリーを撮り続けてる云々」嘘こけと(# ゚Д゚)
連作狙ってたファンタジー作「エアベンダー」。その1作目がこけて打ち切りとあいなった事案は当方死んでも忘れねーわ。こちとら連作全て鑑賞するつもりで観にいってんだからよぅ、それが中途で打ち切りとか正直ヤルヤル詐欺まがいの搾取だろう。コケて辞めるようなら初手から撮るなっちゅーことよ!
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