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オールドのRのレビュー・感想・評価

オールド(2021年製作の映画)
4.2
なんかものすごいものを見たような気分になる映画やった。話にちょいちょいおかしなところはあるんやけど、まぁ細かいことはいいかぁってなる。不思議な気分。映画館で観たら、劇場出たあと、見える世界が変わってる感じがしそうな映画だ。ストーリーは、4人家族がインターネットで見つけたリゾート地のホテルに向かうとこから始まる。楽園のように美しい場所で素晴らしい歓待を受ける4人は、ホテルのマネージャーに、近くに秘密のプライベートビーチがあるので、ご招待しますよ、どうですか? と提案。それを受け、早速行ってみることに。ほかにもう数人と、岩壁の渓谷を通り抜け、視界に広がるビーチの美しさにワーオ! これこそ夢のように理想のバカンスではないか! だが、そこで遊んでいる6歳の息子がとつぜん女の死体を発見。大変なことになった!と渓谷を抜けてもとの道に引き返そうとするも、なぜかみんな途中で目眩がして戻れない。そうこうしてると、もうひと組の家族のお婆さんがとつぜん体調に異変をきたし、あえなくくたばってしまう。一体何が起こっているのか、呆然としているそのとき、向こうから彼らのもとに駆けて戻ってきた6歳の息子と11歳の娘に目をやると、彼らは10代後半くらいにまで成長していた……という話で、このあたりから漂う恐ろしいほどの異世界感がすごい。特に、成長した子どもたちの姿を、実際画面上に見せるまで、じらしてじらして見せきらないじらし演出がおもしろく、まず変声したのに気づかせ、人々のリアクションを見せ、最後に彼らの姿を登場される。おおお。イイ!となりました。で、この辺りから、ん?なんで? ちょっとおかしくね? ってなることが増えていきます。6歳の子がいつの間にかセックスのことを知っております。どうやって知識が入ってきたのか。しかも早くもやったんかい。いつの間に! それがために起こることもなかなかホラーであり、コミカルでもあり。このあともこの少年は、何でそんなこと知り得たん? みたいな、成長と知識の増加は別の話やぞってのがありました笑 で、実はこの主人公の家族の夫婦は、奥さんのとある事情のために破綻しかけている。そのために奥さんは、他に愛する人ができてしまっている。その事情が辿るプロセスも面白いし、その処置も面白い。で、僕的にヒジョーに楽しみだったのが、お医者さんの奥さん。健康・美容マニアで、グラマラス、自撮りに余念のないギラギラ女がいったいどうなってしまうのか……これがなかなか姿を現さない。ワクワクして待って、じらされ、じらされ、じらされた挙句、とんでもないオチを持ってきてくださいました👏 やってくれました、シャマラン、まさかそんな姿に……🤣🤣🤣 さて、そこからさらに時は経ち……けどね、見てて思うのは、結局このビーチにいても、普通の世界に生きてても、過ぎてしまえば同じなんですよ。過去のことは振り返ると一睡の夢の如し。元には永遠に戻らない。まさに、この夫婦が感じてたように。永遠のなかの一生なんて、一瞬と何も変わりがない。けどその一瞬が、永遠を包み返す、奇跡の瞬間がある。その感覚をこの映画は見事にとらえてるんです、さすが、インドから生まれてきた異色監督、インド哲学が息づいていました。さて、このなんとも言えない奇妙な奇妙なお話は一体どういう結末を迎えるのか、彼らは時間切れになる前に、元の世界に戻ることができるのか? 最終的にはおおー、そうきますかー、と意表を突いたエンディング。しかもちょっと感動的。いやー良かったです。異世界感むんむんの演出良かったし、めまいを誘うぐわんぐわん異様なカメラワークもイイ。役者さんたちは、スター性はなく地味であったが、泥くさい親しみやすさがあった。主演のガエル ガルシア ベルナルは、アモーレスペロスという映画ではじめて見たとき、こんなキュートでセクシーな男がこの世におるのかってくらい愛嬌があったが、おじさんになってめっちゃふっつーになった笑 あと、監督も不気味なバスドライバーの役で出てましたね。他の俳優さんたち以上にスター性を放ってた。ほんまに、見終わったあとは、すごい経験をしたような気持ちになり、愛している人にいますぐ会いたくなるはず! また見たいとまでは思わないかもやけど、一回は見る価値、ぜんぜんアリと思います!👍
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