バリカタ

林檎とポラロイドのバリカタのレビュー・感想・評価

林檎とポラロイド(2020年製作の映画)
3.5
不思議な手触りの作品でした。

いきなり記憶がなくなる病が蔓延してる世界でのお話。その前提を頭に入れて鑑賞した方がいいです。それがないと「ん?何が起きてる?」ってなっちゃいます。僕がそーでした(笑)

さて、本作。シリアスと思いきや何気に笑えるんですよねー。特に治療ミッションへの取り組みについては、なんだか4コマ漫画を見てるみたい。しっかりオチがあるんですよね。そんな「クスっ」を散りばめながら物語が進むのですが、それ以上になんとも悲哀が漂うのです。その悲哀はなぜ漂うのか?というと・・・ってところが本作のミソかなぁって思いました。

人間って過去の嫌なこと、悲しいこと、辛いことっって忘れちゃいたいけど、不思議に覚えてますよね。楽しかった事以上に(これは個人差あるかな?)もしかしたら、楽しい成功体験よりもネガティブな出来事の方がもしかしたら「自分らしさ」があるのかもしれないです。思ったことを考えなくやったら失敗したとか、自分の考えを押し通したら失敗した・・ってありますもん。まぁその積み重ねが成功につながっていくわけですが。

そんなことを考えていると、本作の主人公が治療プログラムを通してちょっとずつ自分というものに触れていく様はそれが要因なのかなぁ?なんて思ったりして。どうなんだろうなぁ。そう考えたら、世の中って悲しみや辛いことが溢れているのかな?・・・あぁ、記憶喪失になりたくなってきちゃった。