KnightsofOdessa

脱出のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

脱出(1944年製作の映画)
5.0
No.182[デレデレ版『カサブランカ』の圧倒的勝利] 100点

フランス領でアメリカ人のボギーが商売を営み、ある夫婦を領地から脱出させる…って完全に『カサブランカ』ですやん。しかし、お姫様感の溢れ出るイングリッド・バーグマンよりも(バーグマンも大好きだけど)、つめたーい目で睨んでくるバコールが素晴らしく、ボギーも私もニヤニヤしてしまう(前者は旦那だしな)。特に初登場シーンの扉にもたれているバコールが遠くの方に登場してマッチをせびる(んで火を消したマッチを放り投げる)とこから既に最高。毎度毎度タバコを咥える度にマッチを取り合う様がエロすぎる。『情熱の航路』しかり、こういうカッコいい喫煙映画を観てしまうとアホなのでタバコを吸ってみたくなってしまう。そして、マッチを投げ捨てたい。

ここからバコールもボギーもデレデレになっていくわけだが、バコールの持つ"悪女"感は透明感のあるバーグマンには出せない味があるし、正直この作品ではこっちの方が良い。部屋の陰影も最高で、マッチを擦るごとに顔に掛かる簾の縞状陰影が外れて顔全体がボワッと明るくなるのも観てて泣けてきた(語彙力)。あと、レジスタンスの治療で奥さんが倒れるとこも良い。ピアニストのクリケットがそんなに歌が上手くないのも良い。

ラストがかなりのパワープレイだったのが少々いただけないが、ボギーまでデレ始めたのが面白くて仕方がない。
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