斬切りバーニー

DIVOC-12の斬切りバーニーのレビュー・感想・評価

DIVOC-12(2021年製作の映画)
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DIVOCー12とは……
「COVIDー19をひっくり返したい」という想いを込め、新型コロナウイルス感染症(COVIDー19)のアルファベットをひっくり返した造語である。12人の映画監督が10分の時間を与えられ、織りなす短編オムニバス。


コロナという前代未聞の未知のウイルスに脅かされる今、誰もが以前とは違う生活を強いられている。外に出掛けること、人に会うことを規制され、仕事、学業を思うようにできない歯痒さ。金銭面における将来の不安。そして、生命さえも失われてしまう恐怖ーー。

10分という短い時間であるが、12人の監督の熱さ、虚しさ、焦燥など様々な想いが画面越しにぶつかってきた。本当にバカバカしく腹から笑える作品や、美しい風景に目を奪われる作品、映画愛を爆発させていたり、些細な日常への感謝を思い出したり……。これだけ感情の揺さぶられる120分は、贅沢極まりない時間だと思う。


DIVOCー12は、コロナの影響を受けているクリエイターや俳優を支援するために生まれたプロジェクトである。収益の一部は、日本芸術文化振興基金へ寄付されるとのこと。

映画は誰のためにあるのか、と考えた時、私はやっぱり観客のためにあるのだと思う。しかし、このDIVOCー12からは、作り手の熱量がそれを上回っているように感じた。世の中の一定数には「どうしようもなく作らざるを得ない」人種が存在するのである。

映画が好きで好きで堪らなく、その映画を作りたくて作りたくて……そういう真っ直ぐでひた向きな気持ちをひしひしと受け取れる。こんな時代だから、というのは皮肉だけど、今しか味わえない稀な機会なので、ぜひ映画館に足を運んでみて下さい。