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DIVOC-12の8637のレビュー・感想・評価

DIVOC-12(2021年製作の映画)
3.7
可もなく不可もなく、だった。つまらないものは無いにしても、10分の中でもっと理解しやすく表現してもらえれば面白かったかもしれない。
集ったこの作品群に共通点はない。コロナ禍に触れた作品も一つや二つしかない。しかし、監督のチームごとに違うベクトルで観客を楽しませようとしているのが分かった。もう一つのオムニバス映画じゃなくて、こっちがシリーズ化すれば良かったのに。

藤井道人監督のチームは全部面白かった。「タイクーン」で現実的な異空間の生み出し方と編集センスに驚き、「ココ」では"言葉なんか覚えるんじゃなかった"と颯爽と前の作品を裏切りながら、静の演技とテロップで哀しみを伝えていた。「名もなき一篇・アンナ」はそこまでをためすぎてて眠くなってしまったけど。

一番グッと来たのは「流民」かな。数多の状況が用意されているのが映像感覚的に面白い上に、少しずつ浮かんでくる主題が最後に重く突き刺さった時にこの映画の凄みを感じた。石橋静河の居心地悪い演技も最高で、それにちゃんと感情移入できた。

「ユメミの半生」は期待値が高すぎた。だけど面白かった。10分の間に走馬灯まで入れるなんて大したものだ。新たな技術へのチャレンジとミニシアターを守る事が実行されていたのがこの映画全体の醍醐味になっている。そして個人的に、同年代のああいう人が出てくるのに弱い。

最初4作の中では「よろこびのうた」が好き。最後は音楽で無理やり盛り上げた感あるけど、世界観は普通に興味深い。あの瞬間の藤原季節の顔が忘れられない。
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