ひでG

これからの人生のひでGのレビュー・感想・評価

これからの人生(2020年製作の映画)
3.5
シモーヌ・シニョレ主演の同名作もあると思ったら、そのリメイクでした。
老婆と不良少年の交流のお話、かつても
同じような題材の作品はいくつかありましたが、本作は、この2人の魅力が特に素晴らしく、惹きつけられる映画になっていました。

まずは、ソフィア・ローレン。撮影時でも80歳を超える高齢でしたが、画面の中での迫力やオーラは格別!
老けても大スターは大スターでしたね。

ソフィア・ローレンが演じるマダム・ローザは、娼婦の子どもや恵まれない子達を代わりに育ててきた人だが、善意の塊という感じではなく、感情を直接的に子どもにぶつけることもあります。自分の苦しさや思いを隠さないのです。(年齢的にその余裕もない?)

マダム・ローザのカバンを引ったくった少年モモ。彼女はこの不良少年を引き取ることになりますが、自身も持病があり、最初から乗り気ではありません。

モモを演じたイブラヒマ・ゲイェくんは、
瞳が鋭く、心の傷を抱えた、いや、生まれてこれまで人を信じたことがなかったであろう不信感を目一杯引きずっている様子をよく表していました。

モモはローザに反発しますが、ローザの腕に付けられた番号に気付きます。そう、
彼女はホロコーストの生き残りだったのです。

95分と短い作品なので、2人の関係を深める過程がもう少し時間が足りなかったかなとも思えますが、過去と今、傷を抱えた相手を思い遣る気持ちの芽生えはしっかり描かれていて、良作だと思いました。

いつまでも、2度と起こしてはいけない人類の蛮行を伝えてくれる大女優の魂に拍手です。
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