氷雨水葵

ダーク・アンド・ウィケッドの氷雨水葵のレビュー・感想・評価

3.5
2023年57本目

シンプルホラーだった!

◆あらすじ
ルイーズとマイケルの姉弟は、父親の病状が悪化したとの知らせを聞き、久しぶりにテキサスの人里離れた農場に帰ってきた。

ひっそりと最期を迎えようとする父親の傍らには母親がいる。

ところが母親は「帰ってくるなと言ったのに…」と2人を突き放す―――。

◆感想
本作も劇場に観に行こうか迷っていた作品。
ある程度の怖さはあるものの、それ以外はなんというか普通。びっくりするようなストーリー展開が待っているわけじゃないし、ジャンプスケアもない。人間ドラマもそこまで深くなく、どちらかといえば、少しずつじんわり近寄ってくる恐怖を感じられる内容だと思います。そういう意味ではシンプルホラーですね。『ダーク・アンド・ウィケッド』というタイトルやポスタービジュアルから伝わってくる不穏な雰囲気がたまらなく好き。時々見え隠れする’’悪魔的な何か’’による恐怖演出、視聴者を闇に誘うかのようなじっとりした描き方が良い。「闇と邪悪」この直訳にふさわしい内容で、何が起こるか予想はできるものの、ハラハラドキドキできる部分もしっかりあり「ああ…そうなってしまうのか」という感想が出てきてしまう。ほんとうに悪魔の仕業かもしれないし、はたまた極限状態に陥った姉弟のいきすぎた妄想かもしれないし。でも、こういう部分の境界線が曖昧なのがまた良い。不穏なままラストまで駆け抜けていくし、終わった後も「結局どういうことだった?(いい意味で)」となるし、言いようのない気持ちになります。舞台が農場というのもよくて、静かな雰囲気だけど空気は重々しく陰鬱な感じ。その分、所々垣間見える恐怖ポイントがより際立っていた印象。割と視覚的なインパクトもあるし、弟の運命に至っては絶望感しかない。
ただ、内容がそこまで無いせいか、94分という時間がかなり長く感じました。
「この作品は駄作だ!」とまではいかないものの、脚本はそこまで面白いわけではないので、観る人を選びそうかも。
氷雨水葵

氷雨水葵