シミステツ

浜の朝日の嘘つきどもとのシミステツのネタバレレビュー・内容・結末

浜の朝日の嘘つきどもと(2021年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

映画館が無くなるのは悲しいね。
茂木莉子、浜野あさひ。
福島県南相馬市に本当に実在する「朝日座」なんだね。

茉莉子先生、男にだらしなくてよき。バオくんに出会って、片想いじゃなかったって死に際に分かったのは先生も良かったねって感じだけど、映画の主題がボヤけちゃった感じもするな。先生を物語のどこに置くか。あくまで死んだ人、その意志を受け継ぐ莉子=映画館の再生という中での回想に留めるレベルでよくて、先生が結構前に出てくるんだなって思ってしまった。

その街の固有性=映画館がなくなることすなわち、人々がつないできた想いが潰えること、というのが主題だろうけど、ちょっと最後の最後になったなという印象。最後になって街の人もバオくんも助けてくれて、何とか工事をストップ、閉館を回避できてめでたしめでたし。

クラウドファンディングをすることになって、森田の映画の思いが徐々に露わになってきてから映画っていいよなってジンとくる。スーパー銭湯に生まれ変わるのか。本当に閉館してしまうのか。不動産屋の根回しで街の人たちの反応も変わってしまったり、地域にとって本当に必要なものは何なのか。映画なんてなくても生きていける、それでも無くしたくないという想いの連鎖。このへんを丁寧に描いていたらもっと素敵な映画になると思った。


「半分は暗闇を見ている」

「映画で人は救えねえ」
「馬鹿野郎。まだ始まっちゃいねえよ」
「私この街に住む。ここはまだ何も始まっていない」