真っ黒こげ太郎

ピースメーカーの真っ黒こげ太郎のレビュー・感想・評価

ピースメーカー(1997年製作の映画)
4.5
「ここはワシントンDCじゃないんだ!現実の世界なんだ!!!」
「事件は会議室で起きてるんじゃない!現場で起きてるんだ!!!」

映画自体は未見だけど、あの有名な台詞の元ネタって今作だったのね。
まぁ、あのシリーズは妙に酷評が多いイメージなので、あまり見る気は起きないが…。w



ロシアで廃棄用の核兵器を積んだ軍用列車が衝突事故を起こし、核兵器が爆発する大事件が起きる。
実はこの爆破事故はあるテロリストが意図的に仕組んだ物であり、10基の核兵器の強奪をカモフラージュするために意図的に起こされた物だった。

だが、アメリカ軍の核学者のジュリア・ケリー博士と情報参謀のトム・デヴォー中佐がその企みを見抜く。
彼らは核兵器奪還の為に追跡を開始する!!
果たしてテロリストの目的は!?そして2人は核兵器によるテロを阻止てきるのか!?



盗まれた核弾頭を巡って軍人と科学者が奔走する、ポリティカル・サスペンス・アクション。
テロリストとの闘いや追撃戦をリアルかつシリアスに、そして緊張感高く描いている。

今作は最初は見るつもりはなく、本当に何となく適当にレンタルしたのだが、結構面白かった。
シリアスなサスペンスアクションとして最初から最後まで見応え抜群だった。


お話は少々政治関連の用語が入り組んでるので、頭空っぽにして観ると少々置いていかれる。
ポリティカル要素やサスペンスドラマ要素を挟む場面も多いので、アクション目当てで観るとちょっぴりキツイかも。

しかし、話自体は「テロリストが爆発事故に見せかけて格を盗んだので追っかけてテロを阻止する」的な至極真っ当な内容で案外分かりやすい。
ドラマの内容も人物描写を必要最低限に留め、「テロリストとの攻防」&「核爆発の阻止」に絞って描かれている。
主人公やヒロイン周りのドラマですらバッサリカットされているが、その分邪魔な身内話やダレる人間ドラマが無くて見ごたえがあった。
「核兵器を追う」の一言で済む話ながら、サスペンスフルな脚本がテンポ良く処理されているし、ドラマも捻りがあって最後まで楽しめる。
主人公とヒロインがタッグを組む話だが、恋愛に逃げなかったのも良い。
(ラストシーンで、ちょっといい感じの関係に進むくらい。)

主人公のキャラもタフガイではあるけど、マッチョすぎない丁度いい塩梅で魅力的。
ヒロインも真の強い女性だが、ワガママな性格ではなく、それでいて邪魔にならない塩梅でしっかり意見を述べる為、好感の持てるキャラだった。
一方、テロリスト側に悲しい過去を持つ男がいるが、彼も軽すぎずしつこ過ぎずな程よい分量で描いていた。
その反面悪い奴は「単純にワル!」として描いてたので、同情の余地のない悪党連中もちゃんと倒す場面もある。
そんな感じで、サスペンスに絞った必要最小限な人物設定ながら、主要キャラは皆好感の持てるキャラ設定で清々しく観れた。
また上記の台詞や、ヒロインの核兵器に関する持論なども興味深く、キャラの深みもシッカリ感じられるぞ。


「核弾頭を10基盗む男よりも…核弾頭を1基欲しがる男の方が怖いわ。」


アクションシーンは3か所に絞られてるが、どれも迫力満点かつ話の展開も相まって緊張感が高い。
ド派手なカーチェイス、テロリストとの闘い、そして爆弾テロの阻止とアクションはどれも見ごたえ抜群。
カーチェイス、銃撃戦、追跡戦とアクションのバリエーションも豊富で最後まで楽しかったです。

ただ、楽しい娯楽エンタメとしてはちょっと難しい用語が多く、やはり話が少し入り込みにくいのは難点かな。
主人公側のドラマも最小限なので、そういったドラマ方向がかなり薄いのはちょっぴり気になる所かな。
(その分、サスペンスフルなドラマは見応え抜群だが。)


ちょっぴり難しい場面や物足りない所もありますが、緊張感の高いサスペンスフルなドラマ運びに手に汗握る大迫力のアクションが合わさったエンタメ度数の高いサスペンス・アクションの秀作。

90年代の大作アクション作品の中では目立ってない方だが、他の作品に負けず劣らずな面白さの逸品でオススメです。