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バイプレイヤーズ~もしも100人の名脇役が映画をつくったら~の8637のレビュー・感想・評価

3.9
ファンサービスの域を超えた本人役合戦、多分NGなパロディドラマ、大手配信企業に対する鋭い視点...どれもこれも、"テレ東だからできたこと"。

そもそも『バイプレイヤーズ』シリーズはあのジャスミンが主役の最終回で終わって、これはただの後書きでしかないと思っていたから、それを超えてここまで満足できた事が信じられない。
それに今回映画から入った人もいるかもしれないが、シーズン3と同世界線の舞台、シーズン2の大杉漣に対する急遽の演出など今まで培ってきたものの完全燃焼の場を観られたのはドラマファンとしての本望が叶った瞬間でもあった。

基本的に主軸は「映画愛」と「役者」である故、キャラクターにはバイプレイヤー一人一人の個性が尊重されている。それがこの物語に悪い影響を残そうが、良質な映画・ドラマを届けてくれる彼らに頭が上がらない。
あ、でも今回は一見さんを気にしてなのかジャスミン=北香那の出番が異常に少ないと感じたのが残念。後は(柄本時生への親父いじりは一応あったが)ドラマ版のようにバイプレイヤー達の過去出演作に触れる台詞がなかったのも少し物足りなかった。
その代わりではないが、ドラマの時よりもっと凄い役者たちが本人役を演じ切っていたので圧巻。逆に言うと、人が多すぎて映像がやかましいのだが、そこすらも愛せた。
皆さんがこの映画の有村架純を褒めてるのは分かりますが、僕は芳根京子さんを推します。笑。あのキャラクターが本当なのかは分からないけど、何となく魅力を感じるっていうか......(早く「可愛い」って言えよ)

でも映画に対する演出が真面目。「ワンハリ」「キネマの天地」等をセリフに挙げたり、よく観てみると「いつくしみふかき」「ロストベイベーロスト」のポスターが貼ってあったり等、ドラマとは違う視点からだったが愛を感じた。
濱田岳監督の自信を演技で隠す姿には以前の自分を重ねたりもした。自分にも自主制作映画に対するトラウマがあった。沢山の解散があっても結局どうにかなってるって事は、やはり愛されてる証拠なんだな...
そしてそこから続く大団円のフィナーレはもはやカルトだった。「自分は今なんてものを観ているんだろう」と思いながら感動していた。何よりこの終が松居大悟監督によって締められたっていうのがなんか良い。
全体的に雰囲気につられて笑う事が多かったので、ここで急に感涙ポイントが来て驚きはしたけど。

Creepy Nutsの主題歌は映画化にあたり宣伝のために初登場ながら必要不可欠だったのかもしれないが......まぁ良かったんじゃないすか?
偶然なのかもしれないけど、犬の" Fuu"とタイトルの"Who"を掛け合わせている感じがただの主題歌ではないのでは、とは思ったけども。。


追記:映画館で初めて東宝映像事業部の映画を観ました。大好きなあの爽快なロゴ音を映画館の音響で聞けて良かったです...(どうでもいい)
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