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キャラクターのTSのレビュー・感想・評価

キャラクター(2021年製作の映画)
3.7
【主人公となる殺人鬼】78点
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監督:永井聡
製作国:日本
ジャンル:サスペンス
収録時間:125分
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 2021年劇場鑑賞14本目。
 まずまず面白かった。また、こんなに堂々と菅田将暉と小栗旬が共演するのも新鮮で良かったです。グサグサと心に突き刺さってしまうシーンがあり、犯人のサイコパス具合には苛立ちが募りますが、作品を完成するという目的をもっているため、行きすぎた芸術心を備えてるともいえます。直接的なグロシーンは少なめですが、映像的にややショッキングな箇所も多々あるので注意。

 とある漫画作家のアシスタントをする山城は、数々の新人賞をとってるにも関わらず中々デビューできない。そんな中、家のスケッチを頼まれて夜の住宅街に行くのだが。。

 ここで山城は壮絶な場面に遭遇します。一家が惨殺された場面に直面しパニック状態に。それからすぐ警察がきて取り締まりが始まり、一人の男が逮捕されて事件は解決したように見えました。

 皮肉にもこの壮絶な悲劇が彼にインスピレーションを与えます。それは、このような惨殺を好むサイコパス男を主人公とした漫画を描くということ。彼は次第に大物作家となっていきますが、悲劇は発生し続けていきます。

 まず菅田将暉は安定の演技でしたが、サイコパス男を演じたセカオワのFukaseもかなり味がありました。大体サイコパス状態の人間の気持ちなんてわからないですが、やはり今作でもその真意なんてわからない。ただただ人を殺すことに快楽を満たすのか、復讐なのか。彼は山城の作品から影響を受けているのは間違いありません。しかし、皮肉にも山城の作品も、彼の異様な行動から影響を受けているのです。山城意図しないところで共同作業が続いているということになるのです。その中で、犯人はおそらく自分が主人公となり話が進むのが堪らなかったのでしょう。恐ろしい限りです。

 この犯人が狙う対象も、見ているこちらの気が滅入るものであります。束の間の幸せを奪われるこの辛さ。トラウマになる人も出てくるでしょう。今作は殺害後のショッキングな映像をどんと見せるのでそれがまた強烈。殺害シーンを敢えて省き、あっという間に死のシーンに持っていくことで鑑賞者に大きなショックを与えることに成功していると言えるでしょう。

 ラストあたりはもう少し捻りがあってもよかったと思いますし、あまりにも警察が無能すぎてやや苛立ちが募るのがマイナス。しかし、まずまずの面白さでしたので及第点であります。
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