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BLUE/ブルーの655321のレビュー・感想・評価

BLUE/ブルー(2021年製作の映画)
3.5
『BLUE』のBというワケではないですが…
ボクシングでは「Aサイド」「Bサイド」という言葉がよく使われる。

Aサイド…試合をしてあげる側。例えば日本やアメリカなど裕福な国のボクサーはこちら側のことが比較的多い。
Bサイド…試合をさせてもらう側。タイのボクサーなんかは経済的な事情で日本に来たりする。

勿論、国の経済力で単純に決まるようなものではありません。
ただ、チャンピオンだからAサイドという訳でもない。
タイ人世界王者が日本人挑戦者にアウェーである日本で試合をさせていただく、という構図もままある。
その場合、日本人(Aサイド)に判定が有利になることも多いのです。

そしてつまりこの映画の「BLUE」は単なる「青コーナー=挑戦者」という意味以上に、「Bサイド」の物語なのです。
公平な勝負なんてさせてもらえない人間たちの物語。

私はこの映画の「Bサイド」が持つドス黒い感情を描いている所がとってもとっても好きだ。
Bサイドであることに納得出来る人間なんているはずがないのだから。
Aサイドにざまあみろのストレートを打ち込んでやりたいんだ。みんな。
…それでも。そしてそれでも。
そう、“それでも”が美しいんだ。
負けたからって酒に溺れた時、自分に負けた時。
その時こそ本当の負けなんだ。
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