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荒城の月
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『荒城の月』に投稿された感想・評価

Hiroking

Hirokingの感想・評価

3.0
〖1930年代映画:人間ドラマ:松竹〗
1937年製作で、滝廉太郎をモデルにした人間ドラマらしい⁉️
哀愁漂う作品でした。

2023年1,908本目
瀧廉太郎の生涯をフィクション化した佐野周二主演、佐々木啓祐監督の、情景描写の優れた通俗映画の傑作。瀧佐野周二が汽車から故郷の駅に降り立ち、親友教師佐分利信が出迎え馬車に乗り、途中農家娘高峰三枝子が相乗り、旅館に降りてすぐさま二人は古城跡で昔を懐かしむ。佐分利は学校へ戻り、佐野は土井晩翠「荒城の月」作曲に思い耽ていると、鉛筆も買って貰えないとサボる学童葉山正雄が飛び出したので小銭をあげた。佐分利宅を訪問し食卓を共にする。ある時、佐分利が妹高杉早苗との婚約を勧め承諾するが、高杉が葉山の姉高峰に優しく対応する佐野への誤解もあったが、佐野の病状回復と作曲の完成を待つと約束した。佐野は、葉山の鳥寄せ笛をヒントに曲が浮かび、元実家のピアノで書き上げるが、最後の仕上げに急遽帰京を決意。夜行列車の車中で容態が悪化、途中駅旅館で佐分利に曲を託し、同行の高杉も佐野の最期を看取る。
三四郎

三四郎の感想・評価

4.3
何故かどこか寂しくなるような悲しくなるような切ないような…それでいて心温まり心潤むそんな映画だ。

1937年、この作品はパリ万博に送られ、その年パリ、ヴェネツィア、ベルリンで上映されたようだ。万国博に送る際の候補作品は3つに絞られており、それは溝口の「祇園の姉妹」小津の「一人息子」佐々木の「荒城の月」で、結局「荒城の月」が選ばれたのである。フィクションにしろ、滝廉太郎と彼の代表作、つまり日本の誇りを題材にしていたからだろうか。万博に出品するのだから、やはり国家の威信、いや政府の思惑が働いたことは確かだ。まさか芸妓姉妹の物語を胸張って国家代表として出すわけにはいかぬし、「一人息子」は内容的にも深く良いような気がするが、欧米にもこの手の作品はあるだろうし、やはり前述したように「日本らしさ」を持った作品として世界に堂々と出すなら「荒城の月」が一番無難だったのであろう。藝術的観点、批評家から言わせるとキネマ旬報ベストテンに入っていない映画なので口惜しかったかもしれぬ。

「東京なんてあなたの思ってるようないいとこじゃありませんよ」こうゆう科白は感慨深い。
さて、37分ごろの映像が気になる。三枝子の目の動きか?歩くスピードか?列車にでも乗っているのかと思うくらい滑らかで速い。これはちょいと速すぎるなぁ、たとえ目の動き、歩くスピードではないにしろ。この速さは何を表現したかったのだろう。もう少しゆっくりの方が良かった。