佐藤

竜とそばかすの姫の佐藤のレビュー・感想・評価

竜とそばかすの姫(2021年製作の映画)
3.7
夏といえば細田守監督!
時をかける少女ぶりの少女が主人公で、サマーウォーズぶりのインターネットの仮想世界を舞台にした作品が一周回って帰ってきました!
サマーウォーズの公開が2009年という、本当にひと回りしているという事実に驚愕です。

この作品の仮想世界内での主人公の姿がどうもディズニーテイストがあるなと、美女と野獣のような構図だなと感じたのですが、それもそのばす、完成報告会見で監督がインターネット上で美女と野獣をしたらどうなるかという所から始まっているようです。
加えて、仮想世界内の主人公の姿はアナと雪の女王や塔の上のラプンツェルのキャラクターデザインを担当したジン・キムさんを起用したとのこと!
したがって、この映画は細田守監督のファンというよりかは、ディズニーファンやミュージカル映画ファンの方が乗れる作品なのではないかと思う程です。


以下、ネタバレありの感想です。


上でも言及した美女と野獣の構図は表面的なものだけでなく、美女と野獣における見た目と中身という二面性を、インターネットと現実に置き換えた作りは流石だなと言ったところです。
ここは最近のインターネット上での、誰かが一度指を差したら徹底的に叩き上げる風潮を、行き過ぎた正義を悪とする印象を受けました。
また、一見現実や置かれている状況に囚われた主人公が、逆に呪いから逃れられないでいる竜を解放するという、美女と野獣でキーとなる部分まで内包しているのはお見事です。
そのシーンで再びアナウンスされる仮想世界Uでのコンセプトである「世界を変えよう」という呼びかけにハートが震えない観客はいるのでしょうか!
また、ストーリーに置き去りにされた、ついて行けなかったという感想も散見されますが、それを考察の余白を残しておいてくれていると捉えるか、シナリオを観客に投げ過ぎていると捉えるかはその人次第です。
その点で言えば観る人を選ぶ作品ですが、それを十二分に上回る圧倒的な映像美と音響で私は気にならない人でした!
最後になぜ主人公は竜を助けるために奮起していたんだろうとずっと考えていたんですが、幼い頃、自分を置いて見ず知らずの子どもを助けた母親の気持ちを知りたかったからではないかというところに落ち着きました。
高校生になってもまだあの時の母親の行動が理解出来なかったからこそ竜に何度も会いに行き、助けようとしたんだと思います。
この解釈も人それぞれなのでみんなの考えも聞かせてください!

少女が選択と成長を迫られるひと夏の物語、みなさんも映画館でぜひ観てください!
佐藤

佐藤