ラストはすずがナウシカになる話です。だから、たった一人で身を投げ出して危機に立ち向かうわけです。すずの母の声優が誰かが鍵です。
細田監督が描きたいと希求する理想のヒロインがその「姫」。
自分が何者でもなく、無力で、絶望に打ちひしがれているとき、アニメが救ってくれた。
自分の思慕する姫が、はるばる遠くから(次元の壁を超えて)自分に会いに来てくれた。手を取り合って、好きだと告白する。叶わぬ想い、白昼夢だと分かっていても。
アニメキャラへの叶わぬ恋をどう成就・昇華・成仏させるか。細田版美女と野獣は、そういうラブストーリー。アニメでしか描けないし、描くに値することなんだ。
とても偏った性癖を肯定する映画を作ってくれてありがとうということで、☆5つけます。