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竜とそばかすの姫のKentaCのレビュー・感想・評価

竜とそばかすの姫(2021年製作の映画)
3.5
自然溢れる高知の村に住む女子高生すずが、全世界50億人が利用するネット上の仮想世界「U」の中で歌姫ベルとして注目されるようになり、「U」を騒がす竜と出逢い気持ちを通わせていく物語。

人の持つ二面性を、
「仮想現実での理想の自分」と「現実世界でのリアルな自分」、
更にその現実世界での「表の顔」と「裏の顔」、
という両面から描き出し、
デマや妄想に踊らされる世の中の人々の危うさを風刺的に描いていて、
非常に現代的な作品だなと感じました。

それに加えて、
高知の豊かで自然溢れる景色と、
煌びやかでありながらも雑多で賑やかすぎる電脳世界という、
美麗な作画の対比と音楽でも説得力を持たしていて、このあたり職人技だなという印象でした。

ただ、とても残念だったのが、
いちばん盛り上がるクライマックスの展開が、おそらく主人公の変化と成長を描きたい思いが先行しすぎて、擁護できないくらいあまりにもご都合主義かつ非現実的で、それを現実世界側の展開でやってしまうという矛盾も相まって、そこで強烈に冷めてしまいました(熱く感動的な展開、と感じる人も勿論いるとは思いますが…)。
そこまではスコア的に3.9くらいの感じだったので、とにかく惜しい、という印象が強く残る作品でした。
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