叡福寺清子

ワン・モア・ライフ!の叡福寺清子のレビュー・感想・評価

ワン・モア・ライフ!(2019年製作の映画)
3.0
皆様,ご自身の寿命がわかるとしたら知りとうございますか.こんばんわ.三遊亭呼延灼です.

陽気なイタリア男性パオロ・フェデリーチェさんが事故で亡くなりました.が,寿命管理局的な役所の手違いで,本当はもうちょっとだけ長生きするはずでした.いわば人生のロスタイムを謳歌する為に現世に戻ります.その猶予時間がわずか92分であったとしても・・・

まるで筋肉少女帯の「若いコとドライブ ~80'sから来た恋人~」みたいな作品でございますが,そんなに感動いたしません.この手の作品の様式は,クリスマス・キャロルが基本.つまりろくでなし人間が残された時間で家族や友人との交流し,自分の行いを懺悔し真人間になって,再び天国の召されるお話でございましょう(ん?なんかクリスマス・キャロルと違うくないか??).ところが本作のパオロさんは,そこまで酷い男性ではございません.既婚男性あるあるの範囲の為,改心の高低差が発生せず,感動とかそういうのとは無縁でございます.

残された時間を家族と過ごそうと奔走しますが,その道中でフラッシュバックが多々挿入されます.問題はそれが「家族と一緒に過ごす」というラストシーンに対する貢献度が低く.さらに演出が雑・・・というか過去話なのか進行形の話なのか漫然としているため,作品自体単純な物語なのに散漫な印象を与えます.正直申しまして,途中で飽きます.さらには,フラッシュバックの内容が助平っぽい女性遍歴中心なので,嫉妬の怒りが加味されます.挙句,パウロの母親にまで助平に描くのはどうなんでしょう.

終盤,娘と人生ゲームをやるシーンがありますが,冒頭でこれを持ってきて,ゲームの駒を進める=パウロの人生を振り返るみたいな演出もアリやったんじゃないかしらと思った次第.

なんにせよ,視聴者としては涙は1ミリも流れませんから安心してください.