バリカタ

アウシュヴィッツ・レポートのバリカタのレビュー・感想・評価

4.5
本作のクライマックスはエンドロールに流れる音声だと思います。オープニングの言葉を思い浮かべながら聞いてました。観賞後に監督のインタビュー記事を読んだら、どうやらこれこそがテーマのようですね。
ホロコースト、ジェノサイド、、実行命令を出した人、実行者達の罪は言わずもがなですが、その人達を生んだのは何なのでしょうね。彼らに権限を与えてしまったのは何だったのでしょう?それを突きつけられます。

大事なのは虐殺の悲劇はどこからは始まったのか?を知らなければならないし、理解しないとならないと言うことだと思います。歴史を知るとは出来事を知ると共に、なぜ起きたのか?を知ることだと思います。そして忘れない事。その重要なことを訴える作品です。と思うと、僕は知らない事多いですね。知らないから過去を繰り返してしまいそうです。いかんですね。

本作、映像作品としても見事です。直接的な描写が少ないのですが、圧倒的な絶望感を出してます。それは映像の色合いなのかもしれませんし、差し込まれる短い虐殺映像のインパクトの強さなのかもしれません。雄弁に語りますが、それは酷さを必要以上に訴えるものではないです。おかしいよね?これ、おかしいよね?を淡々と。
素晴らしいのではないでしょうか?

絶望は味わいたくない。かと言って、不条理な絶望感を味わう人々の上に成り立つ幸せもおかしい。どうすればよいのか?繰り返しますが、過去の経緯を素直に受け入れて学ぶことから始めないとならないのでしょう。

我らの誰もが未来を創るための積み重ねの一部なのでしょう。レポートを届けた彼ら、送り出した人々、無念に命落とした方々の想いは途絶えさせてはいけないんだな。繰り返してはいけない事は何なのか?を間違えないようにしながら。