arataki

エスケーピング・マッドハウスのaratakiのネタバレレビュー・内容・結末

2.5

このレビューはネタバレを含みます

88分という映画としては短めの尺だけれど
説明不足に感じることもなく、綺麗に纏まっていた。
観た後の余韻と疲労感から
体感としては、もっと長尺に感じたくらい。

作中の様子も10日間で起きたこととは思えないほどの
濃厚さだったので終盤に日数が明かされるまでは
てっきり何年単位での話だと…
とは言え、逃れられない恐怖感や閉塞感の中で、
あれだけのことが毎日起きていたとすると
心身共に衰弱していくのも無理はない。
それこそ、たった数日が
何年もの時間に感じてしまうほど
さぞかし長く、辛い日々だっただろう。

ネリーが入院するもっと前から
長い間ここで過ごしてきた患者も多くいて、
(どこまでが事実かは分からないけれど)
酷い扱いを受けて亡くなった方もいると思うと
彼女によって悲惨な現状が明らかにされたことは
歴史的、社会的にも大変意義のあることで、
何より、多くの女性の命を救うことへと繫がった。

事前情報なしで観たので
まさか実話だなんて思いもしなかったけれど、
はたして、自分がネリーの立場だったら
あれほど過酷な状況下で自分自身を保ち続け、
誰もが恐怖を感じる相手に立ち向かい、
希望を見失わずに前向きに進んでいけるだろうか…と。

彼女の勇気と思いやり、
その揺るがない正義感があったからこそ
成し遂げられた脱出劇だったことは
間違いないだろう。



2020-022
arataki

arataki