おはなだ

カラーパープルのおはなだのネタバレレビュー・内容・結末

カラーパープル(2023年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます


「私は黒人で貧しくて、醜いかもしれない。でも生きている」


痛みに耐えて産んだ愛しい子供を二度も奪われ、賢い妹ネティと比べられ、虐げられるばかりの人生を過ごし、無気力に生きるセリー。
ささやかな希望は優しかった亡き母の記憶とどこかで生きているであろう子供たちと、ネティが去り際に残した必ず手紙を送るという言葉。けれど牛一頭と引き換えに嫁がされた結婚相手のミスターは日々届くネティからの手紙を隠し、セリーを家政婦のように扱う日々。
息子の結婚相手の気が強く勝気なソフィア、じゃじゃ馬で破天荒な街のアイドル・シュグとの出会いが彼女の人生を変えていく。


ストーリーは結構急ぎ足な感じ?けれど男尊女卑が当たり前の価値観である世界でセリーの受ける仕打ちは見ているこちらも鬱屈になるほど心が痛くなった。
歌はどれも素晴らしい!黒人の方って手足が長いからダンスも映えるし力強いサウンドは聞いてる側の魂を震わせるほどのパワーがあるし、鬱ストーリーのなかでちょっと一息つかせてくれるような塩梅で良かった。
レミゼやグレイテストショーマンのようなミュージカル映画を想像していたけど、思ったより歌は歌、ドラマはドラマって分けられて話が進んだな。
あとみんな言ってるけどミスターは最後の行動だけで許されると思ってんじゃないだろうね!セリーの優しさに感謝して生きなさい!

価値観って一辺倒なものではなく時代によって変わっていくものだから、本当に今を生きている一人ひとりが常にアップデートを意識して行っていかないといけないんだろうなあと思う。
1900年代〜戦前には家父長制度が『当たり前』で女性は男性を立てるのが『当たり前』で、むしろ大多数の人間の間では(女性当人でさえも)差別という意識すらなかったのかもしれない。性別より前には職業とか家柄とか、そういうので選り分けられていた時代だってあったんだろうし。
今もまだ理想の世界とは言えないんだろうけど、昔から理不尽に抗い戦い続けてきた女性たちの存在を忘れずにいたいと思う。

たまにこういう自己肯定感高めるような作品を見ることはストレス発散というか、人生を生きていく上での良いモチベになるね。
今が一番若くて美しい。何もなくたって私は今を生きているんだから、私だけは何があっても私を愛してあげたい。
見落としがちな『紫』に目を向けられるような生き方をしたいものですね。
おはなだ

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