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ボストン市庁舎のcyphのレビュー・感想・評価

ボストン市庁舎(2020年製作の映画)
4.1
ワイズマンなんてなんぼ観てもいいですからね、とわりと気を抜いて観に行ったらワイズマンなのに政治的なメッセージをはっきり示す構成になってて特に後半結構涙ぐんでしまった 分断や差別を許さず市民の多様性を尊重していく、なんて市長の演説としても民主主義の在り方としてもあたりまえ体操すぎるのに、それをはっきりと見せつけられただけでこんなに泣けちゃうくらい世界は狂っていることよね ワイズマンでなければ市長のプロパガンダ?と思ってたと思うけど、単純にこのひとは「誠実な仕事」が好きで市長はたまたまそれをしているのだろう 都合のいい夢みたいな話だと思いつつも最後の党大会のスピーチぼろぼろ泣けてしまった

一方で、トランプ政権による法の改悪によってマイノリティの人権がはっきりと否定されていってることがミーティングの議題として明らかになるくだりなんかは悪い夢みたいで印象的だった もちろんそうした狂った変化の中でも市役所の仕事は粛々と続いていく

あとこれは国民性というか言語世界の違いによるところも大きいのかもしれないけど、いわゆる"市民の声"の雄弁さにも終始感激してしまった これらの言葉に台本がなく、一人ひとりが自分のために選んだ語彙であると事実だけで正直泣ける「parityのための公的支援は結局自分達を下請けの下請けとする白人たちにしか回らない、俺たちにはずっと大金の仕事は回ってこない」と訴える建設業で30年間零細企業をやってきたというマイノリティの男性、大麻販売店の事前説明会で地元コミュニティへの悪影響を懸念して盛んに意見する住民たち
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