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アクアマン/失われた王国のナーオーのレビュー・感想・評価

アクアマン/失われた王国(2023年製作の映画)
4.0
お、面白い!!!

製作中にジェームズ・ガンによる新体制のもとDCユニバースを一から仕切り直すことが発表され、ザック・スナイダーの『マン・オブ・スティール』から始まったDCEUは終了することが決定。本作で『アクアマン 失われた王国』が事実上、最後のDCEU作品となってしまいました…

そしてジョニー・デップとの泥沼離婚裁判に負けたアンバー・ハードの出演場面を大幅に削るために撮影中なのにも関わらず脚本を変更せざる終えなくなったなどの噂も。様々な事情が重なり、一時期はお蔵入り寸前と言われていた程、製作に紆余曲折あった作品ではありますが、そのような厳しい制作条件などは微塵も感じさせない、万人にオススメできる、堂々たる娯楽大作に仕上がっており、改めてジェームズ・ワン監督の手腕に驚かされました。普通なら降板していてもおかしくないくらいの悪条件で無事に完成させたジェームズ・ワンがまずはヤバい。

大傑作『狼の死刑宣告』で味を占めた長回しアクション。1作目『アクアマン』や怪作『マリグナント 狂暴な悪夢』にもあっと驚くアクションがありましたが、本作でもそのアクションは健全。おまけに『インシディアス』や『死霊館』などのホラー映画を撮ってきたジェームズ・ワンならではのホラー演出。特に本作は氷河の下に歴史的な遺物があり、そこには気味の悪い触手型のクリーチャーがいる… という完全にラヴクラフトの『狂気山脈』、ほとんどクトゥルフ神話です。前半、地面の氷が割れて車が落下する場面は『遊星からの物体X ファーストコンタクト』を連想しました。

意外にもというべきか職人監督に徹していながらも、前作『アクアマン』以上にしっかりと自分の味を残った作品だったので個人的には前作よりも本作の方が面白かったです。

なによりも『インシディアス』シリーズや『死霊館』シリーズ、最近では『インシディアス 赤い扉』で監督デビューも果たしたジェームズ・ワン作品の常連俳優になりつつあるパトリック・ウィルソン。

本作はパトリック・ウィルソンへの愛に溢れた映画だったと思います。とにかくパトリック・ウィルソンが素晴らしい!

ウィルソン演じるオームは前作では悪役でしたが、本作では主人公アクアマンと一緒に行動する相棒となり、作風もラブロマンス的だった前作と違って、ブロマンス要素満載のアクアマンとオームのバディ物。

オームが兄アクアマンとの仲を取り戻し、広い世界を知っていく冒険映画としてめちゃくちゃ上がるし、最後は感動できる。単なる悪役として終わらせずに、これほど愛に溢れた役回りを用意していたジェームズ・ワン。アンタは最高だ!

とはいえ、前作には出演していたウィレム・デフォーが不在だったことは確かに寂しい。噂ではアンバー・ハードが出演していたいくつかの場面をカットした際にウィレム・デフォーで出番が丸ごと無くなったとのことですが、真相は不明。

またDCEUが本作限りで終了するためにバットマン役でカメオ出演していたベン・アフレックの出演シーンのカットされているらしく、もう一度ベンアフバッツの姿を映画館で拝めなかったことも残念でした。

ジェームズ・ワン監督、紆余曲折ありつつ最後には無事に完成させて公開してくれてありがとう。お疲れ様でした。

次回作は『アクアマン』みたいな大作ではなく、『マリグナント』みたいに小さくても良いから、今まで観たことがないようなホラー映画を作って欲しい。是非ともH・P・ラヴクラフトの『クトゥルフの呼び声』の映画化を期待してます。
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