このレビューはネタバレを含みます
【Find a New Home】
ヒロインと別れるシーンとラストを観た瞬間、マジで涙が込み上がりそうになった。
クリントイーストウッド監督、主演のロードムービー映画。
元上司から「別れた女から息子を取り返してこい」という犯罪スレスレの依頼を受けたクリントイーストウッドが単身メキシコに乗り込み、その子供やペットの鶏"マッチョ"と共にアメリカを目指すストーリー。
あのエンニオモリコーネが作曲した『ミッション』の伴奏が使用された予告編を観て、これは絶対に観に行こうと思わされていた。
https://youtu.be/JVc8SI5CAKw
この映画を観る直前、僕はかなり身構えていた。
なんせあのクリントイーストウッドの作品だ。
今作も『許されざるもの』みたいに人間関係がもつれにもつれあうギグシャクした作品なんだろうなと、勝手にそう思いこんでいた。
でも、見終わった後はいつもと違い、とても気が楽になった。
物語がいい意味で軽く、抜けていて、のんびりとしたゆるさを感じさせてくれる作品だったからだ。
イーストウッドのドル箱三部作を生み出した埃と血の匂いが漂うマカロニウエスタンの終焉に、コミカルなコメディ喜劇をやってのけたテレンスヒル主演作品のあのズッコケ感と同じものを感じる。
『殺しが静かにやってくる』のセルジオコブルッチが壮年期にテレンスヒル主演で『笑激のボンゴボンゴ島‼︎』を撮っていたとかそんな感じ。
イーストウッドが旅先で出会う連中は、最初はみんな険悪とした雰囲気でピリピリとした緊張感が漂ってくる。
そして何度か(ヤバい!)と思える場面にでくわすんだけど、
でも、直に会ってみると(あれっ?)て不思議になるくらいにフラグが回避されていく。おまけに優しい。
そして別れる際も余韻を一切残さない。
最後まで誰も死ななかったことが本当に素晴らしかった。
ちょっとしたことで揉め事が起こってしまう今だけど、でももうちょこっとだけ心を開いて気楽に生きたってもいいじゃないか。
そんなメッセージが込められているように感じました。
クリントイーストウッドが人や動物達と触れ合う姿に励まされる作品です。
「困った時はまた会いに来い」
「どこにいるかは分かるよな」