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クライ・マッチョのmityのレビュー・感想・評価

クライ・マッチョ(2021年製作の映画)
3.5
まだまだ人生のスタートラインにいる少年とゴールライン手前にいる老人が出会い、共に立ったのは人生の岐路。ラフォとマイクが選んだ道は、互いに出会えたから選べた道であることが、じわじわと沁みてくるラストだった。

パスポートを出すその手さえ震えているように見えたほど年老いているマイクも、暴れ馬を手懐ける姿は見事で。キラキラとした目でマイクを見るラフォに共感しつつ、過去は今を助けるなぁとしみじみと思った。「俺はドリトル先生か」には笑ったけれど、動物のことが分かるマイクだからこそ、ラフォもまたマイクに心を許せたんだろうと思う。

闘鶏にマッチョと名付け、強さに憧れるラフォ。ラフォを手のつけられない不良のような、さも出来の悪い息子のように言うリタだったけれど、追手から逃げる為に見せた傷は痛々しく、むしろリタの元で育ったわりには可愛げのある子になったと思ったよ。いやー酷い親だった。

ちょっと肩透かしを感じるようなシーンもあったりして、ふとくる不穏な雰囲気のわりには非刺激的だったなと観終わった直後は思ったけれど、でも振り返って感じたのは優しさや温かさで。マイクとラフォと共に旅するマッチョの勇敢さや賢さや可愛さに、ほっこりもした映画だった。


#9_2022
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