ぽん

パーフェクト・ケアのぽんのネタバレレビュー・内容・結末

パーフェクト・ケア(2020年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

ずいぶんとまぁ薄汚いアメリカン・ドリームだわねとガックリきちゃう話だけど、自分はフィクションとして屈託なく楽しんでしまった。
ピカレスク・ロマン(悪漢小説)と言っていいのかな。ロザムンド・パイクの悪女ぶりがアッパレ。この人、デヴィッド・フィンチャーの「ゴーンガール」(2014)でも相当な女だったけど、この度のマーラも肝っ玉の据わった強欲ぶりがホントに圧巻。

認知症が進んで独居生活が困難になった高齢者を、公的に保護する後見人制度を逆手にとった悪徳介護ビジネスで辣腕を振るう法定後見人のオハナシ。
本作でマーラが食いついた獲物のジェニファーさん(ダイアン・ウィースト)ですが。彼女ぐらいシッカリしてたら本人の意思抜きにホーム入居なんて無理よねーなどと無粋なこと考えたりするものの(日本で言ったら法定後見ではなく任意後見になる)、なにせ医者もホームもみ~んなが結託してるから、やられちゃうかーと。

しかしこの婆さんが只者ではなく、マーラってば虎の尾を踏んじゃったねっていうスリラー系にシフトしていくのが面白い。合法のボロい商売だったハズが、ヤバい世界に関わることになり、気づけば自分が狙われる立場に?という展開。

なにしろマーラという女性は恐ろしくタフ。殺すって脅されても「男なんて脅すことしかできない」って一歩も引かない。ある意味、勇敢なんだけど、自分もまたジェニファーを服従させるために脅すし、それでも言うこと聞かなきゃ卑劣な手を使うし。もうアンタも男じゃんって感じで、こういうキャラ造形が面白かった。
色仕掛けとか、か弱さを演出するとか、女の武器を一切使わない。
ジェンダーレス時代の悪女はこーよ!って気概を感じた。
ぽん

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