きゅうげん

悪魔のいけにえ レザーフェイス・リターンズのきゅうげんのレビュー・感想・評価

3.3
『悪魔のいけにえ』シリーズ第9作にして、もぉ〜何度目かのタイムラインリセットな続編。
事件から半世紀近くたった今なお、唯一の生存者サリーは真犯人を追っていた。そんなテキサスの田舎町に若者グループが移住してくる。
しかし不動産をめぐるトラブルから、地元養護施設の老婆が昏倒、残されたある入居者のタガがハズれ再び覚醒してしまうーー。


せっかくの『悪魔のいけにえ』最新作なのに、ここ数年よく見かける“意識高い系空回りB級ホラー映画”に堕してしまってる印象。
若者達のリベラル像は安っぽいし、対立する地元民もテキサス人としては味つけ薄め。
それに遺恨があるとはいえ、ヒッピー崩れなサリーがレンジャーしてる設定は説得力ないし、知らないお婆ちゃんが勿体ぶって登場しても別にカタルシスないし。
あと、主人公の背負うトラウマの銃乱射事件、規模感も深刻度も重大すぎて『悪魔のいけにえ』の事件自体が霞んじゃうし、当の本人は後半戦になるまで本筋に1mmも関係しないし!

それにバトルフィールドが良くないですね。
目抜き通りの先に広場と教会……っていうウソみたいな西部開拓村を舞台に、知らん児童養護施設とか知らん映画館とかを転戦しても「それ別に『悪魔のいけにえ』じゃなくない?」っていう……。
つまんねーBBQパーティとかバスの謎ダンスフロアとか、ただでさえ少ないであろう予算をベットするところ間違えてる感ハンパないです。なによりも雨を降らしたのは失敗でしたね。テキサス感がもう皆無。

レザーフェイスのデザイン自体もやぼったくありきたりで、ご本人なのにパロディ感が勝っちゃってる。
愛嬌ある家族キャラクター達を廃したのも残念ポイント。殺人・解体・晩御飯という要素が象徴する祝祭感・饗宴感こそ、『悪魔のいけにえ』最大の魅力なのに。
ムチャクチャ奮戦していたお姉さんが、いろんな意味で可哀想になる作品でした。
(まぁ、急転直下のラストとクレジット後の一枚絵はそれなりに好きなんですが……)