Habby中野

少年には楽しい夏休みと新鮮な空気が必要だのHabby中野のネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

温かい家庭、大きな庭、現実的な友人関係、豪快な遊び、パーティ、少年の日の夏の思い出。あまりに祝祭的な生活の画がつづいて幸福死するかと思ったけど、これは夢ではないので少しずつ人生が顔を出してくる。高齢の祖母のゆったりとした終わりかたと、母親の急速な弱りかた。立て続ける死に必然はない。運命的とは何ぞや、人生はいつも死のにおいがする。
そんなもの受け入れられるはずがない。でもハンス=ペーター、彼は知っている。祖母のくれた強い生き方と、母親のあの優しさを。なくなったものは、消えたのではなくいまもここにある。すべてが自分だ。人生とは死の上を、死とともに、死へ向かって歩くあの頃からつづくこの道のことだと。幸福は崩れるのではなくかつてそこにあり、いつでも思い出せる。だからあえて、やはり初めから終わりまで幸福な映画だったと言いたい。
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