とぅん

対峙のとぅんのネタバレレビュー・内容・結末

対峙(2021年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

銃乱射事件の加害者家族と被害者家族が、6年の歳月を経て対話する場を描いた重厚なドラマ。

最初の教会でのスタッフ達の準備以外は、加害者と被害者の親の4人での話し合いがじっくり展開されていく。
密室での4人の会話がメインなのでとにかく疲れたんだけど、緻密な脚本と強力なキャストの熱演のおかげで全くダレずに観られた。

最初は他愛もない会話から始まって、やっぱりその事件を飲み込めないから、両者もがきながら言葉を繰り出していって、事件の核心に触れていき、次第にヒートアップしていく。
最初は努めて冷静に話を回そうとしていた被害者家族の父親が一番取り乱してしまったり、お互いの息子の思い出を語るシーンを経て、母親が加害者家族の2人を「赦す」と言えるようになるまで、全く気が抜けない。

特に被害者家族の父親が繰り出す、息子が命を落とすまでの6分間の話は本当にしんどくて、1番の山場であることは間違いない。

最後、別れると思いきや、戻ってきて生前の息子とのいざこざを話しに来た加害者家族の母親に対し、被害者家族の母親が抱きしめるなんて、最初から考えたら凄い着地だと感じた。
果たして、実際にあったらあんなふうに落ち着けるだろうか。6年という歳月がキーなのかもしれない。

俳優陣はみんな素晴らしいのだけど、特にジェイソン・アイザックスが次第にヒートアップしていくところなんか絶品だった。

本当に疲れちゃう作品なので、何度も気軽には観られないけど、間違いなく力作だと感じた。低予算でも素晴らしい作品は作れると再確認。
あと、最近は監督業やって傑作を生み出す俳優が多いように思えるのだけど、本作のフラン・クランツもその中の仲間入りだな。今後が凄く楽しみな人だ。
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