Nさん

秘密の森の、その向こうのNさんのネタバレレビュー・内容・結末

秘密の森の、その向こう(2021年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

マリオンは自分の気持ちを話せる相手と出会うことができた。

でも、ネリーが何かを解決してあげたわけではない。
「誰にも解決できない人生のままならないこと」をマリオンはネリーに話して、真剣に聞いてもらうことができた。子ども同士だからわかってあげられることみたいなものが二人の間にはあったんだと思った。
(「部屋の隅の黒豹」みたいに、大人になったマリオンには既にもうない感覚とかがある。)

マリオンは隠し事をしているんじゃなくて、秘密を話せる人がいなかった。

あの家は結構へんぴな場所にあるように見えたけど、マリオンに全く友達がいなかったってわけではないと思う。
学校にも行ってたと思うし。

秘密を話せる人がいなかったのは、話しても大丈夫そうな人がずっと身近にいなかったって意味なのかなあと思った。

ネリーは、マリオンのことも、マリオンのお母さんのことも当たり前によーく知っていて、それでいて同じ8歳の女の子としてお互い出会えたから、秘密を話せる相手になれたんだろうな。

2人共きょうだいがいない。

二人が仲良しで可愛くて尊かった。
子どもの頃、友達と心の繋がりだけでずっと一緒に過ごせたことを思い出した。
あの頃にしかない感情とか感覚とか共有できるものがあると思う。
壁があんまりないというか、深部で繋がってるような感じ。

子どもの頃を思い出す映画だった。
観た日は帰り道に金木犀の木を見つけて、観察して、秋の風を浴びて帰った。

それにしても、「もう今日で会えるのは最期かも」みたいなことを頻繁に言ってくる人とずっと一緒にいたら、孤独を抱えることになっちゃうよなあ。
若くて元気なママと楽しくずっと一緒にいたいよなあ。
マリオンのお母さん(ネリーのおばあちゃん)も相手を苦しめたくて言ってたとは思わないし、いつ自分が終わるのか不安だったんだとは思うんだけどもね。
「ここに居たくない」っていうのは所在なさとか居場所のなさみたいな感覚なのかな。

ネリーの「ママがいなくなってしまった」って話をマリオンにするのは、子どもならではという感じがした。
がまくんとかえるくんが手紙を出したことを打ち明けた話みたいな印象を受けた。

マリオンはマリオンでネリーの話を信じて、「未来からきたの?」と質問したのがもう愛おしくてね。

ボートを二人で漕ぐシーンがとても可愛かった。
元気いっぱいに森で遊ぶ姿に力をもらった。
昔持っていた気持ちを蘇らせることができた。
Nさん

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