Yukiko

白い牛のバラッドのYukikoのレビュー・感想・評価

白い牛のバラッド(2020年製作の映画)
4.0
2023年2月11日
『白い牛のバラッド』 2020年イラン・フランス制作
監督、ベタシュ・サナイハ。

イラン。テヘラン。
牛乳工場で働くミナ(マリヤム・モガッダム)は、
聴覚障害の娘ビタと二人でテヘランに住む。
1年前、ミナの夫は殺人罪で死刑になった。
ある日、裁判所に呼び出され、ミナは夫が無実であり、
真犯人が判明したという事実を知らされる。
納得のいかないミナは、死刑判決を下した判事に謝罪を
要求する。


冤罪(えんざい)無実であるのに犯罪者として扱われること。
贖罪(しょくざい)自分の犯した罪や過失を償う為に、
    善行を積んだり、金品を出したりすること。   
免罪(めんざい)罪を許すこと。

上記3つが加わった話であり、更にイランという国の女性で
あるが故の生きづらさ、理不尽な要求や差別を経験したり
なども入り混じる。

白い牛=冤罪で殺された夫を意味しているようだ。
バラッド=バラード。

被害者の怒りが強ければ、「生命には生命」の復讐で死刑が
早く執行されることを、下記のWikipediaの記載で知る。
もし、被害者の怒りがそれ程でもなければ、死刑の執行は
5年間猶予され、その間に無実の罪だと判明したのかも、
と今更ながらこの映画の出演者のそれぞれの立場を考える。

主役の女性の歩き方がいかにもリアルで、これも演技か!?
と、普通の働く女性の忙しそうな歩き方を表現するリアルさ
に驚いた。

ミナが口紅をつけるシーンが2か所あった。
その口紅をつけるというところに、相手への気持ちを表現して
いるんだね。
キスシーンも手を触れあう場面もない映画だからこそ、この
口紅は重要な意味をもつのよね。

この映画の中で、娘が聴覚障害であることの必要性が今一つ
分からなかった。

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<イランにおける死刑>  Wikipediaより抜粋
イランの死刑制度は、イスラム法に基づく厳しい死刑制度を
維持している国であり、死刑執行数は2020年時点で中国に
次いで多い。

殺人の場合: 
イランでは殺人罪はイスラム法によって裁かれる。
イスラム法では殺人が故意の場合、遺族は
キサース(同害復讐刑)とディーヤ(賠償金による和解)の
どちらかを選択できる。
過失致死の場合は、キサースを求めることはできず、ディーヤ
による解決を選択するよう勧告する。
コーランにはキサースよりもディーヤを奨励する文言が存在
している為、キサースによる処刑は少数派となっている。
多くの場合はディーヤの支払いの機会を与える為に、死刑の
執行は5年間猶予される。
遺族がキサースを選択し処罰を求めた場合、「生命には生命」
の復讐として死刑が執行される。
尚、ディーヤで支払われる賠償金の基準は、イスラム法に
基づき、ラクダ100頭の価格に相当する金額を毎年政府が
定めている。
また聖なる月として争いが禁じられているラマダーン月から
ムハッラム月の期間に殺人が行われた場合は、賠償金が倍に
なる。
イスラム教徒による非イスラム教徒に対するディーヤの金額は
半額とされていたが、2004年の法改定により同じ金額に変更
された。
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