あんじょーら

ボーはおそれているのあんじょーらのレビュー・感想・評価

ボーはおそれている(2023年製作の映画)
3.8
アリ・アスター監督   A24    吉祥寺アップリンク


2024年公開映画/2024年に観た映画  目標 36/100です。 現在は2/17


2024年に観たかった作品の2本のうちの1本です。あの、アリ・アスター監督の映画ですから、まぁいろいろあろうとは思いますけれど、期待値は嫌が応にも高まります。


メンタルクリニックで診察を受けているボー(ホアキン・フェニックス)は診察されて、質問を受けているのですが、上手く答えられずに、緊迫感を募らせていて・・・というのが冒頭です。


もう、本当におかしかったです。笑える、と言う意味でも頭がおかしくなるくらいに笑えます。でもそれ以上に、何てことを考えているのだ、という意味で頭がオカシイ人が、監督です。


これまでの映画「ヘレディタリー/継承」も「ミッドサマー」も結局のところ、家族という呪縛の話しでしたが、今作も同じです、と言い切っても良いかと思います。


ネタバレは出来る限りしない感想ですけれど、ちょっと長かったかな、とは思いましたが、凄く不思議な作品。


最初のパート、何が起こるか?は言えませんけれど、とにかく、笑ってしまいました。劇場でここまで笑いをこらえるのは、本当に久しぶりの事です。


そして、関連する映画をいろいろ考えてしまいます。


ホアキン・フェニックスの演技は、いつも通りで凄く雰囲気があり、上手いです。顔芸もやってくれますし、全身で演技されていますし、感謝しかない、とアリ・アスター監督も思っていることでしょう。


それ以外の役者さん方は多分初めて観る方々ばかりでしたけれど、見応え、演技、十分過ぎるくらいありました。特に外科医の人は、そういう職業の人に、ちゃんと見えます。そういう些細な部分もかなり作り込んでいます。


さらに美術も、相当なこだわりを感じます。それこそ、悪夢的と言える場面を、キッチュなのにキャッチ―で、ポップなのに毒々しさがあり、リアルでは無いのに皮膚感覚まで醸し出しています。相反する2つの感覚がちゃんと感じられるようにしているの、本当に凄いです。


それと同時に、ある部分に、あの「オオカミの家」の監督コンビが関わっています。これも凄くイイです。


さらに、音楽も良かったと思います。劇中に出てくるとあるCD、私も好きですけれど、まぁね。


ただ、莫大な予算がかかった作品、ある意味、前2作の成功があって、好き放題にやった結果、これはちょっと受け入れにくいだろうな、受け手である観客も、結構困っている感覚を、公開2日目の最終回でしたが、感じました。


お客さんは、それなりに入っていましたし、若い人、それも女性の数人グループが多かった印象があります。それもミッドサマー的なモノを求めていらっしゃってた人たちの頭の上に大きな?が浮かんでいたのを、鑑賞後の出口付近の人だかりで感じましたし、まぁそうなるよな、とも思いました。


基本的には、やはり、家族という鎖について、遺伝子という牢獄に関心のある人に、オススメ致します。