マニ

ボーはおそれているのマニのネタバレレビュー・内容・結末

ボーはおそれている(2023年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

タイトルはボー、字幕ではボウ。表記揺れに戸惑いながら、beau(ボウ)はbeauty?人間賛美の映画? などと思った私はまったく愚かでした。こんな作品を作る人間が人間を好きなわけがない。

冒頭が出産シーンだったし、随所に性的メタファーが散りばめられていたので「性」や「生」に引っ張られすぎてしまった。ミネラルウォーター、お風呂、プール、洪水、川、海。それらは羊水だろうし、螺旋階段はDNAだろうし、鎖はへその緒だろうし、父親に至っては男性器。母親に会いに行く旅=ボウという精子が受精して生を受ける話? などと思った私はまったく愚かでした。ラストステージの上空にあった穴は女性器なんでしょうけど、結局ボウは羊水へと還っていく。バスタブに浸かるのが好きで、自分では何も選択できないボウの結末としてはハッピーエンドと言ってもいいのかな。それにしてもオシャレなエンドクレジットよ。

とにかく不条理の連続で意味がわからないけれど、薬・毒グモ・ハッパ・妊婦の謎ドリンクなど「幻覚を見ても仕方ない」と思える豊富なアイテムのおかげで観客は受け入れるしかない。現実と幻覚の狭間で展開していく歪な親子愛。

好色の館編が抜群に面白かったです。そのあとは尻すぼみ。「自分の家に他人が続々と入っていく」というホラーはなかなかお目にかかれない。マイベストシーン。

上下反転の意味はよくわからなかった。毒グモのときとか、母親の家の鏡張りの天井とか、意味ありげに映し出されていたけど何も汲み取れなかった。ペンキの色も謎。わからないことを楽しめるなら良かったんだけど、あれだけメタファー置いているなら思考してしまう。

映画館の良音響で観たことは正解でした。身体にズシリと響く鳴動。この映画において必要だと思う。自宅で観ていたら評価はもっと下がっていたはず。

それにしても3時間は長い。トイレ対策に餅が良いということで事前に大福を食べて挑んだら大丈夫でした。私は尿意をおそれている。
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