ベルベー

鳩の撃退法のベルベーのネタバレレビュー・内容・結末

鳩の撃退法(2021年製作の映画)
3.2

このレビューはネタバレを含みます

モヤモヤするわ!「解釈は観客次第だよ」はモヤモヤする…し、突き詰めて考えたところでカタルシス得られるかというとって感じ。ちょっとハイソすぎませんか。松竹のハイソな一面が強調されすぎているような。

「騙し絵の牙」に続いて思ったのは、予告をちょっとエンタメ方向に作りすぎて作品の内容とズレてんじゃないかということ。あの予告だと「22年目の告白」とか「ゴーン・ガール」みたいな方向のドンデン返しを期待しちゃう。けど、本作のドンデンというかトリックはそこまで娯楽ではないという。

しかし「解釈は観た人によって分かれますよ」は個人的にはあまり好きじゃない。それありだったら何でもありじゃない?とちょっと白けてしまうから。多分作り手の中で正解はあるんだろうけど。やっぱり風間俊介は妻と不倫相手を殺してたが真相なんだろうか?作中示された事実をなぞるとそういうことになる気が。「真実を突き止めることに意味はない」って言われてしまうとそれまでだけど笑。

タカハタ秀太監督、ベテランだけどちゃんと拝見するのは初めてかも。オシャな撮り方をする人なのね。間の作り方とか構図とかちょっとATGぽいなとか思ったり。しかし、明らかに敢えて不自然な編集、カットの切り替わりを多用してるので、そこにどんな意味があるんだろうと考え、分からなかったのでモヤモヤした笑。小説と現実が切り替わってるとか?初見だけだと分からんな…。

キャストでいうと、藤原竜也がノリノリでクズ役を演じているのが例によって面白い。良いところもあるけど基本的に酷い男だよね津田笑。「カイジ」パロディに見えるところもあったり。津田がもっと仕掛け人なのかと思いきや、彼も翻弄される側だったのね。

風間俊介が気づいたら草臥れた大人の色気を醸し出す俳優になっていた。トヨエツは不穏な雰囲気を出させたらピカイチ。(少なくとも映像の上では)不穏な雰囲気出しただけだったことに若干の不満もあるが。その他、岩松了、リリー・フランキー、村上淳、浜野謙太、駿河太郎、柿澤勇人と見事にガラの悪い男性陣が揃っていて笑った。あとあれだけの役に濱田岳って豪華…。

女性陣の色気も見どころ。特に土屋太鳳と西野七瀬の2人と、その他の女優陣の醸し出す雰囲気の違いに注目。前者は凄く陽の雰囲気。土屋太鳳がカップ麺を掻っ込むシーンは可愛くてカッコよくて笑った。西野七瀬は「狐狼の血」みたいなキャラよりこっちの方が合ってる気が。

かたや、佐津川愛美、桜井ユキ、森カンナ、石橋けいらの色気は、色気というか淫靡すぎてクラクラする程。なんというか堕落の香りがする。堕落しきってる津田と同じ世界に住む人たちということも含めて。そんな隠と陽の狭間を雰囲気で表現する坂井真紀もまた良い。

音楽もオシャ。KIRINJIだからな。もう徹底してオシャに仕立ててるよな。だから宣伝が難しいんだろう、と想像はつく…つくが、やはり宣伝展開が正しかったのかは疑問。「ネタバレOK」って、あんまり魅力的ではないし。sky株式会社とのコラボはあまり品がなくて作品自体の雰囲気と乖離しているような…。
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